依頼作品の描き方!「明くる陽の為の水面よ」制作過程【絵画】

2022年9月14日

こんにちは、画家のクロマトです。
新作が出来たので、
その制作過程をぶっ放していきます!

【依頼による受注制作

さて、
今回はご依頼いただいた絵の制作です。

なんと個展の時にご依頼いただき
依頼料もその時に受け取っていたので
責任あるプロジェクトになります…!

依頼を頂いてから
まず画家が行うのは
綿密な打ち合わせとヒアリングです。

どのような絵をご希望か
サイズ感はどのくらいか
その人の好みや性格はどうか


一つひとつ伺い
スマホのメモ帳に記載していきます。

●情報を多く得て選別する

希望や人柄、モチーフや色の好みなど
情報は多いに越したことはありません。

その情報の中から
何を作品に落としこむかを決定します。

逆に言えば
選択肢が多くないと窮屈ですし

「正直望み通りではないけど
頑張ってくれたからOKにしよう!」
という妥協をされたくないですし

私自身としても
自分の様々な無力さに
妥協したくないので。

もちろん
選別した選択肢もご連絡し
GOサインをいただくまで
試行錯誤を繰り返していきます。


【ラフを作っていく】

まず前提として
「夜明け 〜約束の場所へ〜」
というテーマと

蝶や白龍を入れたいという
モチーフの希望があったので
それに沿えるようにラフを制作します。

ご希望のサイズ感は
卓上に飾れるくらいの大きさ。

私のウデや画材的に
小さいほど難易度が上がります。

最終的には
サイズを「インチサイズ」
とすることに決定しました。

インチサイズは20.3cm × 25.4cm。
普段制作しているサイズが
木炭紙サイズ65cm × 50cmの私にとって

小さく慣れないサイズ感でしたが
これもまた大切な経験!

臆せずに挑戦していきます。

まず、背景のイメージラフを描きました。

この時点での私のイメージは
宇宙空間でした。

「夜明け」と一言に言っても
ロケーションによって
様々な種類がありますよね。

そして
オリジナル要素として
「海王星」を入れようと思ったのです。

太陽系で一番遠い場所を巡る
極寒の星、海王星
そこにようやく光が差す。

それを見つめ
これまでを讃えあうふたり。

これはエモいぞ!エモいぞっ!!
しかし…

●最初のラフに問題アリ

太陽の温みが届く。
それを見つめる白龍と蝶。
と考えていましたが

このサイズ感で描き始めると
白龍、蝶、海王星、光、宇宙空間と
サイズに対して
モチーフ数が多くて困難を極めたので

しばらく思い悩んだ末
すべて取っ払い
ラフをイチから再構成することを決めました。

まさに、破壊と創造…フフフ…



白龍と蝶と光は最低条件なので
余計なものを入れて
モチーフを増やしてゴチャるより

この3つで勝負しようと決めました。

サイズ感も小さいので
遠くから眺めてもわかりやすい
近づけばなお良い構成を目指します。


【不安と葛藤の末にラフ決定】


今回、すんごい悩みました!
絵描きを始めてから
経験したことがないくらい悩みました!

良いイメージはぽんぽん浮かぶんですが
いかんせん小さいので
どうしても要素が多くなりがち。

でも
自分の構成能力の無さを嘆く時間はないので
イメージを生み出し続けた結果

決定打が出ました。

ちびっこいスケッチブックに
案をドバドバ描いているうちに
このイメージが浮かび

かなり王道な所に落ち着きましたが
確認を取ったところ
GOサインが出たので方向性が決定!

頑なに海王星を入れようとしてましたが
もうむしろ海中にしました!

そして白龍の背中に蝶が乗っている
という構成にすれば
実質、モチーフが合体して一つに!

そして
私はタイトルを先に決めるタイプなので
この時点で作品タイトルが

『明くる陽の為の水面よ』

に決定しました!

【ついに今作の制作がスタート!】


深海に住む孤独な白龍が
海中でなんと一匹の蝶と出会い
その羽の助けを得て
夜明けの光が差し込む水面へ昇っていく。

どんな深海に居たとしても
どんなにその時間が長くても
一緒なら、これからの物語は明るいね。

これはエンディングじゃなくて
次の章。
水面というページを今、めくる。

軽く色彩をつけたところ
「うん、これだ!」という確信を得ました。

逐一確認をとりがちな私ですが
依頼者のかたも、
この時点でテンション高まっていましたね笑

こうなったらもう私は止まりませんよ。
あとはひたすらに描き進めるのみ!


【たどり着いた完成】

さて、色彩はほぼ完成です。

白龍の陰影や
蝶の胴体部分
海の暗い部分には木炭を混ぜています。

本当に
木炭とパステルの親和性はすごいですよ。

そしてまだ終わりません。

充ち溢れる希望と
光で反射するキラキラを表現するため
ここでラメペンを使います。


こちらが最終的な完成形。

画像では非常にわかりにくいのですが
白龍にキラキラの鱗を追加し
蝶もキラキラをまといながら羽ばたいています。

原画を見ると
自分が少し動くだけで
とってもキラキラ反射します!

額装すると
もっと存在感が出るでしょうね!

お届けするのが
今から楽しみです。

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クロマト

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